第一部は、光源氏の誕生から、絶頂に向かうきらびやかな話であったが、第二部はおおまかにいうと栄光のかげりの話である。
第二部
第三十四帖「若菜」~第四十帖「幻」
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玉鬘の一件が落ち着くと、6年間思いあっていた光源氏の息子・夕霧と「頭の中将」の娘・雲居雁(くもいのかり)はようやく結婚を許された。
また、光源氏と明石の御方の娘である明石の姫君は成長し、裳着の儀を迎えた(成人した証となる)。今上帝(朱雀帝の子)の妃になることが決まり、3日間の婚礼儀式が行われた。通常、宮中での明石の姫君のお世話は養母である紫の上が務めるものであったが、紫の上はその役を実母である明石の御方にゆずり、8年ごしに母娘の再会となったのであった。明石の姫君はのちに皇子を出産した。
光源氏の最愛の人・藤壺が亡くなり、「冷泉帝」は光源氏が自分の父であることを知ることとなる。本当は光源氏に天皇の位を譲りたかったが、冷泉帝は表向きは桐壺帝と藤壷の息子であるため、それはできなかった。そこで、冷泉帝は光源氏を「准太政天皇」とした。「准太政天皇」は、天皇も敬う最強の位であったといわれ、これが光源氏の絶頂期であった。
しかし、ある女の登場で、ここからかげりが見え始める。
ある女の登場
絶頂の光源氏にただひとつなかったもの・・・
それは「格のある正妻」であった。
愛する妻・紫の上はいたが、身寄りがなく暮らしていたところを、藤壺の面影を忘れられず、光源氏が連れ去ってきたのだった。身分としては、現在の光源氏と釣り合わなかったのだ。
そんなとき光源氏のもとに、朱雀上皇から娘・女三の宮との縁談の話が入る。光源氏は、紫の上と女三の宮を天秤にかけ、女三の宮との縁談を受けてしまう。紫の上は、身分の高い女三の宮に正妻の座を譲らなければならなくなった。
自分の娘でもない明石の姫君を立派に育て上げ、六条院で春の町を守ってきた紫の上は、表面上はおだやかにふるまっていたがショックで病に倒れてしまう。
思わぬ裏切り
女三の宮はまだ10代、頼りなく手紙の返事も幼稚で光源氏は紫の上同様に愛することができないでいた。
そんなとき、六条院で蹴鞠の催しに参加した「柏木」は、猫が御簾を引っ張ったことで、隙間から女三の宮の姿を見かけ、激しく恋に落ちてしまう。
柏木
「頭の中将」の息子で、夕霧と仲が良く、光源氏もかわいがっていた。
そして、光源氏が病に伏す紫の上の看病に二条院へ行ったすきに、女三の宮と強引に関係を結び、女三の宮は懐妊してしまう。
光源氏は、柏木が女三の宮にあてた手紙を見つけ、おなかの子の父親が柏木であることを悟ってしまう。罪の意識から、柏木は病気となり亡くなる。女三の宮は男の子を出産した後、出家した。
こうして、紫の上を捨ててまで手にいれた格のある正妻は、あっという間に消え去ってしまった。
最愛の人との別れ
さらに、ずっと体調の悪かった紫の上が危篤に。わが子同然に育てた明石の姫君と光源氏に看取られてこの世を去った。
このとき、光源氏は以下の歌を詠んでいる。
大空を かよふまぼろし 夢にだに
見えこぬ魂(たま)の 行く方たづねよ
(意味)
「大空を自由に翔ける幻よ。夢にも姿の見えないあの人の魂の行方を捜してきておくれ」
これは、父である桐壺帝が桐壺の更衣が亡くなったときに詠んだ歌とほぼ同じである。自分がやったことがそのままかえってきた、まさに因果応報。
光源氏は女たちを本当に愛していたのか、栄光を手に入れたかっただけなのか・・・。
結局光源氏は、かわいがっていた柏木にキャリアを傷つけられ、女三の宮は子供を手放し出家、大切にしていた紫の上をなくしてしまったのだった。
四十一帖(最終章):雲隠
第二部最終章の四十一帖のタイトルは「雲隠」。本文は書かれず白紙が続き、そのまま第三部が始まる。第三部は、光源氏が死んだ後の話となる。
「紫の上」が死んでから、光源氏がどのように生き、どのように亡くなったのか書かれていないのだ。(「雲隠」の前巻「幻」から次巻「匂宮」までは8年間の時間が経過しており、この間に光源氏が出家して嵯峨に隠棲し、2、3年後に死去したことは「宿木」に記されている。)
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