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物流「2024年問題」とライドシェア導入検討

雑記

2024年問題とは、2024年4月に施行される働き方改革関連法によって、物流業界に生じる様々な問題のことです。2024年4月以降、トラックドライバーなどの残業時間を年間960時に制限することが決まっており、物流企業の売上減少やドライバーの収入減少などが懸念されています。結果的に離職が増え、ドライバー不足に拍車がかかってしまい、物流が停滞してしまうというものです。このままでは、2030年には35%の荷物が運べなくなる可能性があると言われています。

大型トラック運転手の年間所得額は、以下のとおりで、もともと賃金が低めとなっています。

・全産業平均489万円

・大型トラック運転手463万円

<物流業界>
1990年の規制緩和で運送事業者が増えたことにより価格競争が激化し、低い運賃で荷物を運ぶことが常態化荷主至上主義

運賃が安すぎる

2024年問題の対策として、運送会社では社員の賃上げを検討していますが、深刻な現状があります。

ある運送会社では、ドライバーが30kmの距離を配送し、8000円の運賃を荷主から受け取っていました。

しかし以下のとおり、国交省の定めた標準運賃と比べると明らかに低い運賃となっています。

出典:mlit.go.jp

社員の賃上げをしたくても、ここまで低い運賃で仕事を受けていては無理ですよね。

国交省の定めた標準運賃

令和2年4月国交省は、トラックドライバーの労働条件の改善・ドライバー不足の解消を図り、標準的な輸送運賃を定めました。ただし、荷主と運送業者間の運賃交渉の材料として作成されているため、法的な拘束はありません。本来であれば、荷主側は積み荷や高速代は別途支払う必要がありますが、運賃に含まれてしまっている場合も多いといいます。

そもそも、ドライバーが荷下ろし、積み荷するのもおかしな話で、運転にだけ集中できるようにしてほしいです。

待機時間が長すぎる

荷主のひとつである「スーパーマーケット」が、鮮度を求め、欠品を許さない消費者のニーズにきめ細かくこたえた結果、過剰なサービスとなり、2024年問題の1つの要因となったといわれています。

特売の場合、スーパー側は商品を多く集める必要があり、ドライバーには負担になっています。特にパスタなど常温管理ができる加工食品は、賞味期限チェックなどの検品があり、ドライバーは倉庫で長時間待機しなければいけません。倉庫についてから、荷下ろしするまでに7時間待たされたというケースもあるとのこと。

そのため、加工食品業界では、ライバル会社の商品を共同倉庫で保管し、共同配送するように工夫がされています。北海道の運送会社では、共同配送を取り入れてからトラック台数は2割減り、待機時間も半分に減ったといいます。

また、これまで特売の直前まで追加発注が繰り返されていた経緯がありますが、発注は6日前までとして追加発注をおこなわないよう、大手スーパー6社(ライフ・ヤオコー・マルエツ・サミット・西友・かすみ)でルールを統一しました。

政府の対策は?

・「置き配」やゆとりある配送を選ぶ消費者にポイント還元

・荷主企業に「物流経営責任者」を置くことを義務化する

・高速道路での自動運転トラック走行へ環境整備

・荷主と運送会社が適正な取引をしているか監視するトラックGメンの発足

・鉄道や船舶の輸送量を今後10年で倍増させる

「置き配」の対策がありますが、実は宅配は全体輸送量の7%以下で、輸送量の大部分は工場から工場などの企業間配達となっています。そのため、荷主がいかに国交省の定めた標準運賃に近い運賃を支払うかが鍵となります。

また、大型トラックの高速道路の最高速度を引きあげるとの、ばかみたいな議論もあるようです。制限速度ではなく、給与を引き上げていただきたいです。

また、ドライバーの休憩場所の拡大なども対策してほしいです。旅行などで夜中SAに行くとトラックでいっぱいなので、きっと駐車場が空いていなくて休めていないドライバーさんもいると思います。

また、消費者側も「送料無料」「再配達」「当日配達」が当たり前という考えを改める必要があるといいます。

ライドシェア

また、2024年問題つながりで2023/10/18に岸田総理が、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」の解禁を表明しました。ライドシェアは海外で普及する一方、日本は道路運送法で原則禁止されています。

ライドシェア解禁の動きの背景には、深刻なタクシードライバー不足があります。
雨の日や電車の運休などでタクシー乗り場に行列ができて何時間も待ったり、乗りたいときになかなか道で捕まらなかったりというときありますよね。
タクシードライバーはコロナ禍前の2019年と比べると2割以上減少しており、23万1938人となっています。また、ドライバーの平均年齢は58.3歳で高齢化も問題になっています(地域によっては、60代・70代が多いところも)。これらの方が退職すると、ますますタクシードライバー不足となってしまいます。

あるタクシー会社では、抱えているタクシー台数に対してドライバーが足りなく、常時約1割のタクシーが稼働ができていないとのことです。

この問題の解決策として期待されているのが、ライドシェアとなります。大都市や観光地、過疎地で公共交通機関のドライバー不足は深刻化していることから、自民党の菅前総理大臣や小泉元環境大臣らがライドシェア解禁に声をあげています。

ライドシェアは、海外ではかなり拡大しており、欧米のUber、東南アジアなどのGrab、中国のDiDiなどが有名。時間帯によってはタクシーより安く利用できることもあるといいます。利用したい人がスマホアプリで現在地・行き先を送信すると、あらかじめ登録している一般の運転手が自家用車で迎えに来てくれます。
事前にルートや値段、ドライバーの顔写真やプロフィール、評判もアプリで確認できるので、高額請求されるのではないか違う目的地連れていかれるのではないかという不安払拭できる仕組みとなっています。

タクシー業界からの反発

タクシー業界を支援する自民党の議員連盟の会合では、「ライドシェア」には運行や車両整備の責任を運転手個人が負うことによる安全管理海外で起きている犯罪行為労働者の権利問題などの課題があるとして反対する意見が相次いでいます。

タクシー会社としては、法律や国の指導に沿って、高度な技術を持っていることの証明である「二種免許」を取得した従業員に研修や管理、車の整備などを行うことで乗客の安全を確保していますので、コストをかけなくてもいいライドシェアとの競争は安全性が保たれず不公平と主張しているわけです。

そのほかにも以下の危険性が懸念されています。

・首都高速の合流など、一般の運転手には難易度の高い場所がある
・駅・空港などで特有の駐車ルールがあり、理解していないと事故の危険性がある
・自家用車には防犯設備がないため、運転手の安全にも不安が残る
・お客さんも犯罪に巻き込まれる可能性がある

ライドシェアの議論の前に、まずはタクシードライバーになりたい、やりたいと思える環境を整えて欲しいです。

また、ライドシェア解禁される場合には、自家用車には必ずドライブレコーダーをつけるなど、運転手、お客さんの両方が安心して利用できるルール作りが必須と思われます。

タクシー業界の環境整備とライドシェアの不安な部分を解消しながら、安全にうまく協力・共存していけるよう議論を進めていただきたいです。

個人的には、ホンダが2026年に運用開始としている自動運転タクシーにも期待しています。

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